現在、パシフィコ横浜会議センターで開催中の、FileMakerカンファレンス2017に参加しています。会期は2017年10月23日、24日、25日ですが、初日のメディカルセッションで口演が7演題、ショーケース(展示)ブースでも医療系ソリューションが多数展示されています。まだ会期中ではありますが、LINQUA会員の皆様にだけ最速でレポートいたします!

Filemakerとは?

医療現場でもだいぶ認知が高まっているFilemakerですが、「名前は聞くけど、よく知らない」という方も居ると思うので、ちょっとだけ説明。

Filemakerは、米国Apple社の完全子会社であるFilemaker社が作っている、コードレスアプリケーション開発ツールです。普通アプリケーションの開発には複雑なプログラムを書く作業(コーディング)があるわけですが、この作業を簡略化し、専門的知識が無くともアプリケーション開発を実現することができるようにしたソフトウェアがFileMakerです。1980年代の発売当初こそ、たんなるカード型データベースでしたが、ヴァージョンアップを繰り返し(現在のバージョンは16)、現在ではWebアプリの作成や他のシステムとの連携など、様々なことが可能となっています。FileMakerは、医療の現場にもファンが多く、メイン、サブ問わず多くのオリジナルなシステムが稼動しています。

聞いてるだけでなんだか出来そうな気がしてくる!メディカルセッション

病院内での業務支援、災害時の医療支援、院内感染対策サーベイランスや情報共有、デスクワークの自動化、訪問看護システム、内部開発によるコスト削減レポートと、演題のバラエティは豪華。技術的に高度な内容の発表もあれば、自施設でもできるかもしれないと期待を抱かせるような事例報告まで、絶妙のバランス構成でした。

Filemakerの従来のイメージは、その開発速度の速さや処理能力の制限から、どちらかと言うと入力UI特化や参照系のサブシステムであったりするケースが多い印象でしたが、入力端末をあくまでも電子カルテやオーダリングとし、データを落としこむ先のシステムとして利用する発表があったりと、ソフトウェアの順調なバージョンアップの様子が伺えました。(実際にはずいぶん前のバージョンから、大規模システムでもない限り充分な性能にはなっています。)

実際に触って体験できる!ショーケース

業務支援システム、入退院管理、日報作成など様々なシステムが展示されていました。これらのアプリや口演の発表に共通して感じたのは、現場のニーズがしっかりと反映されたシステムになっていること。開発段階から、PDCAがしっかりと廻っているのでしょう。無駄が無く、コストパフォーマンスの高そうなものが多い印象でした。このあたりは、現場でのシームレスな開発を可能とするFileMakerの面目躍如といった感じですね。

医療系以外のセッション、例えばJALのパイロット訓練プログラムを作成している方の実例報告でも、計画→実装→検証→改善のサイクルを繰り返えすことの重要性を説いていました。昨今、急速にコードレスシステム開発ソリューションのクラウドサービスが増加していますし、FileMakerと併せて、これらの動向にもセンサーを張っておく必要がありそうですね。

異業種の事例に学べ!

メディカルに限定したセッションは、残念ながら初日で終了(ショーケースは残っています)してしまいましたが、2日目、3日目も興味深い演題が並んでいます。例えば2日目には、OCRによる手書き書類の自動化などの発表もありました。紙書類の多い介護・在宅系で生かせそうです。この様に異業種の事例にも、医療現場で生かせそうなヒントはたくさんあります。まだ、あと1日残っていますので、お時間の取れる方は横浜の町を散歩するついでに、是非会場を覗いてみてはいかがでしょうか?