外来患者が増えるにつれて「患者の待ち時間が長くなった」「スタッフの残業が増えた」という声をよく聞きます。患者数の多い診療所であれば当然起きることではありますが、それを少しでも解消できれば患者やスタッフだけでなく、院長にとっても喜ばしいことでしょう。患者の待ち時間の問題が解決すれば、スタッフの残業増加も解消されることも多いようです。

患者の待ち時間増加のメカニズム

患者の待ち時間は、なぜ発生するのでしょうか。その原因としては「患者集中」「患者1人当りの滞在時間の延長」が考えられます。

患者が集中する時間帯は、朝の受付開始直後、昼休み前後、そして診察終了間際の3つの山があります。集中して来院する心理は、患者の立場で考えれば明らかです。体調が悪ければ「できるだけ早く診てほしい」と考え、朝一番で診療所に訪れます。一方、会社員などは「お昼の休憩時間か、勤務時間終了後しか診療所に行けない」と考えることから、その時間でなるべく早く診てもらおうとします。

対策としては、患者集中が起きないように告知することが有効です。例えば、「順番予約システム」を導入し、院外からWebサイトを経由して「混雑状況」を確認する方法があります。このシステムを導入すると、診療所に行ったり、電話で問い合わせたりしなくても、患者自身が混雑状況を把握できるようになります。来院する前に予約や待ち状況を確認することで、自然と混雑を避けるような行動が促されるのです。

オペレーションの改善が待ち時間対策に有効

一方、「患者1人当りの滞在時間の延長」については、診察、処置、検査、カルテ作成といった一連の流れの中で、少しずつ発生する時間のロスが積み重なり、その結果、待ち時間が延長する現象です。オペレーションがうまくいっている場合と、そうでない場合で大きく差が開く部分でもあります。では、どう解決すればよいのでしょうか。

まず、現在のオペレーションを見直すことからはじめましょう。現在のオペレーションの中でロスになっている部分はないでしょうか。受け付けであれば「受け付けからカルテが準備されるまでの時間」、診察室であれば「診察時間」や「カルテ作成時間」、会計であれば「診察終了後から会計するまでの時間」などが考えられます。

これらの時間を短縮する方法として、今回は「診察時間」に注目してみましょう。診察時間のロスの原因は、患者の話や医師の診察が長いことも理由の1つですが、これを改善するのは簡単ではありません。診察自体を短縮すると、患者の不満につながってしまうこともあります。そこで、「いかに限られた時間に多くの患者を診ることができるか」という点に着目してみましょう。

例えば、医師が1人で2つの診察室を利用する体制にして、医師と看護師が交互に患者を診る方法が考えられます。初診患者の場合、看護師が問診表に基づき予備診療(予診)を行い、その間に医師は別の患者を診る。こうすることで、同時に2人の患者を診ることが可能になります。診察室を2つ設けるスペースがない場合は、処置室を活用していることが多いようです。

医師の電子カルテ入力を医療クラークがサポートして時間短縮を図る

医師の電子カルテ入力をサポートする医療クラークを活用することも、診察時間の短縮には有効です。患者が少ない時は診察の間に余裕を持ってカルテを入力することができますが、その間隔が短くなるとカルテの入力時間が合間に収まらなくなります。その結果、カルテを入力する時間がロスとして積み重なり、患者の待ち時間の増加につながることもあります。しかし、医師が診察しながら指示を出し、医療クラークが電子カルテを入力すれば、診察後に入力の時間を取る必要がなくなり、スピーディに診察が回るようになります。電子カルテの入力補助以外にも有効です。